腎臓内科・人工透析内科
腎臓内科
慢性腎臓病(CKD)とは、腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下する(GFRが60mℓ/分/1.73㎡未満)か、あるいはタンパク尿が出るといった腎臓の異常が3ヶ月以上続く状態と定義されます。慢性腎臓病(CKD)の原因となる病気には、糖尿病性腎症(糖尿病を合併)、慢性糸球体腎炎(IgA腎症など)、腎硬化症(高血圧が原因)など様々あります。現在日本では成人の5人に1人が慢性腎臓病という状態にあり、新たな国民病ともいわれています。また、CKD患者は心血管疾患(心筋梗塞、心臓弁膜症、不整脈、心不全および脳卒中、閉塞性動脈硬化症など)の発症や死亡率が高いこともわかっており問題となっています。
しかし腎臓は沈黙の臓器で、その働きが30%を切っても自覚症状はほとんどありません。慢性的に悪くなった腎臓をすっかり元に戻す治療法は残念ながら現在のところなく、いかにその進行を遅らせるか、今ある腎臓の働き(腎機能)を守っていくかが治療の目標となります。
その為には、自覚症状がなくても腎機能を定期的に確認し、経過を診ていくことが重要です。
CKDの治療法には、薬物療法と食事療法の2つがあります。また生活習慣の改善も重要です。腎臓は私たちが食べた栄養の代謝産物を処理(尿として排泄)する臓器ですから、食事の影響を大きく受けます。CKD患者にとって食事療法はとても重要な治療法なのです。
一方で、腎機能が低下し(10%以下)、自分の腎臓の働きでは生命を維持できなくなってしまうと腎代替療法が必要となります。腎代替療法には『透析療法』、『腎臓移植』があり、また腎代替療法を選択しない『保存的腎臓療法』という方法もあります。さらに『透析療法』には『血液透析』と『腹膜透析』の二つがあります。
これらの治療法の選択は医療者と患者が医学的情報と患者の価値観、意志を共有し,共同で最善の決定を下す『共同意志決定(SDM)』によって行われます。 日本では透析患者の数は年々増加し、2022年には約35万人の方が透析治療を受けています。また毎年約4万人の方が新たに導入となっており、患者は高齢化しています。
腎臓内科では、腎機能悪化の進行抑制および透析導入遅延のために、薬物療法だけではなく積極的に食事療法を取り入れています。またSDMのもと、腎代替療法、保存的腎臓療法の選択導入を行っています。
専門医、看護師、管理栄養士、理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、ケースワーカーがチームとなり、慢性腎臓病の治療に努めています。
以下のような症状のある方は、受診をお勧めします。
- 健診で腎機能低下の指摘のあった方、慢性腎臓病の食事療法が不安な方、かかりつけ医で腎機能低下を指摘された方
検査のご案内
- 体組成測定(InBody 770)
- 生化学検査
- 血液学的検査
- 一般検査(尿)
- 24時間蓄尿検査
- 超音波検査
- CT検査 等
- 当院では、当日の検査結果をふまえて適切な診療が行えるよう努めております。
- 検査結果がでるまで、1時間程かかる場合もございます。(検査内容によっては、結果を後日にお伝えする場合もございます。)
外来診療について
腎臓内科は予約制となっております。
受診にはお電話でのご予約をお願いいたします。
電話 0229-22-0063(腎臓内科クラーク)
人工透析内科(透析室)
人工透析内科では、腎代替療法を選択された患者様に対し血液透析と腹膜透析のそれぞれに対応しています。病院での治療となる血液透析は透析室にて、在宅治療が中心である腹膜透析は腎臓内科外来で治療を行っています。
血液透析の方法としては、通常の血液透析(HD)、オンライン血液透析濾過(On-line HDF)、間欠的血液透析濾過(IHDF)があり、患者様の状態、合併症の状況に応じて最適な治療方法を選択しています。透析アミロイド症に対してはリクセルの併用も選択の一つとしています。
また、血液透析を行う上で重要なバスキュラーアクセス(VA)を、看護師や臨床工学技士が定期的に超音波検査(エコー検査)で観察し、その管理にも細心の注意を払っています。さらにVAのトラブル(狭窄など)に対して適宜経皮的血管形成術(PTA)も施行しています。
当院透析室は50床のベッド数を有し、専門医、看護師、臨床工学技士、管理栄養士・理学療法士、言語聴覚士、薬剤師、ケースワーカーがチームとなって、安全で安心な透析医療を提供できるよう努めています。
当院では、お仕事をされている患者様を対象に、火曜日・木曜日・土曜日には夜間透析を実施しています。
また、当院ではご希望の方には透析中に食事を提供しています(有料)。患者様に合わせた栄養バランスのとれた「透析弁当」として院内で調理し、温かい状態でご用意しています。
- ※なお、当院では送迎を行っておりません。
治療開始の時間については下記の表の通りとなっております。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 土曜日 | |
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午前 (9:30~) |
● | ● | ● | ● | ● | ● |
夜間 (17:00~) |
- | ● | - | ● | - | ● |
明るい南向きの透析室です
透析待合室
透析導入時のパンフレッド
当院手作りの『透析弁当』を希望者に提供しています。
バランスの良い透析食モデルとして喜ばれています。
医師紹介
松永 智仁役職:腎センター長
- 所属学会
- 日本内科学会、日本透析医学会、日本腎臓学会、日本糖尿病学会、日本病態栄養学会、日本栄養治療学会
- 資格・認定
- 日本内科学会認定内科医・認定内科専門医、日本透析医学会専門医・指導医、日本腎臓学会専門医、日本病態栄養学会評議員
診療受付
- 診療日
- 月曜日~土曜日
- 診療時間
- [午前]8:30~12:00
- [午後]13:30~17:00
- ※ 各科・部門ごとに異なります。
詳細は下記よりご確認くださいませ。